平昌パラリンピック>こだわりが凄い
オリンピックに引き続き、平昌でパラリンピックが開催されていますね。
パラリンピックを見ていると思うことがあります。それは障害をもった選手たちが、健常者以上とも思われるパフォーマンスを次々に見せてくれることです。
障害者には親切にしなくっちゃ・・・と中途半端な親切心は、パラリンピックを見ていると打ち砕かれる思いがします。
片方の手や足がなかったり、下半身が不自由だったり、耳目が機能していないアスリートたちが、もの凄いスピードで走り、俊敏な反応を見せ、超人的な持久力を見せつける。
しかも、競技の前後の表情は同情や憐憫とは無縁のもので、好成績を目指すあくなきチャレンジ精神には惹きいれられます。五体満足でいながら、呑気にTVを見ている自分が恥ずかしくなったりします。
道具へのこだわり
各選手をサポートするには、パートナーとしての人的補助や、道具の工夫が不可欠です。私が感心するのは、アルペンスキー種目(座位)に使われる、チェアスキーです。
TVで見たのですが、選手たちの滑走するスピードはもの凄いですね。大回転で100Km超、滑降では130Kmも出るのですか!?
それを座った状態で、ストックとバランスだけで滑り降りていくのですから、超人ですね。微妙な感覚がスキー板に伝わらなければ、あれだけのスピードを制御することはとてもできないことだと思います。
そこで、チェアスキーには大変な工夫が凝らしてあることを知りました。
チェアスキーはスキー板の上にサスペンションとシートを取り付けるのが基本構造です。どのパーツもシートは衝撃に耐える頑強さと、振動を吸収する柔軟性を併せ持たねばなりません。
しかも、選手はシートの上で上半身を体重移動しながらスキーを操作するため、フィット感が重要になってきます。
シート
4年前のソチ大会の金メダリスト、狩野選手と鈴木選手のシート作成を請け負っているのは、大阪府大東市の工場なのだそうです。
20年超のベテランが、まさに職人技の粋を凝らして開発しています。何百通りもの素材の配分や形状を試して改良を重ねるのだそうです。凄いですね。
サスペンション
サスペンションというと、カーレースを想起する人も多いと思います。F1などを見ていると、車体の振動を如何に抑えてドライバーの負担を減らすかが、とても重要なポイントですからね。その技術が、チェアスキーを支えています。
トヨタ自動車所属の森井選手とチームを組むのが、トヨタの技術部門の人たち。公募で集まった10数名のスタッフが集結して、車づくりで培った技術を競技用チェアスキーに注ぎ込む情熱には、感動します。
今回で5大会目のパラリンピックに挑むベテラン・森井選手。正に大企業をも動かす、でっかい夢ですね。
技術の進展と道具の普及が、障害者競技のますますの発展につながることを願っています。